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《コラム》風景画家の醍醐味は… [コラム~アートで心豊かな生活を]

先日、見るともなくついていた鉄道の番組…アメリカ横断鉄道の紹介でしたが、途中でSanta Fe Southern Railwayに乗り換えてSanta Feに寄り道をするシーンがありました。
そこで紹介されていたのが、アメリカで抽象画を描いた初期の画家であるジョージア・オキーフでした。
50歳を過ぎてからSanta Fe 近くの Ghost Ranch で野営で生活をしながら自然と向き合い自然をモチーフに制作を続けていたそうです。

「リアリズムほどリアルでないものはない」
「絵は、人生をつくっているすべてのことをする
  すべての理由を貫いている一本の糸のようなものです」

など、数々の名言を残しているジョージア・オキーフですが、番組内で紹介されていたのは、彼女の師の言葉。


『風景画家の醍醐味は、単に自然を描写するだけでなく、大胆に情感を表現することだ』


その師の名前を聞きそびれてしまったので、オキーフのプロフィールにあるどちらの画家かは分かりません。

NYのアート・スチューデンツ・リーグ・オブ・ニューヨークで師事したウィリアム・メリット・チェイスか、
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一時期絵画から離れた後に、ヴァージニア大学の夏期講座で出会い絵の世界に戻るきっかけとなったアーサー・ウェズリー・ダウか。
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ネット検索で見つかった両者の作品をいくつかピックアップしてみましたが、皆さんは『大胆な情感』を感じるのはどちらでしょうか。

そしてこの『情感』を表現するとはいったいどういうことなのでしょう。

『情感』と似た言葉に「感情」「情動」「情操」などがありますが、これらは心理学では英語で明確に分けられているのだそうです。

feeling = 感情…瞬間的、皮膚的感覚(狭義な意味では快・不快しかない)
emotion = 情動…動き(大脳辺縁系で生産される)
affection = 情感…対象へ向かっている
sentiment = 情操
mood = 気分

番組内では日本語で紹介されていたので原文から正確な意図を読み解けませんが、Affectionであれば対象に向かって相対したときの心の動き、しかも瞬間的でない継続的な心の動き、と言えると思います。

作家が、描く対象である自然に相対したときの心の動きを大胆に表現した作品…その作品に我々鑑賞者が相対したとき、同じ心の動きであることはあり得ません。でも、その作品は観る者に強く共感(empathy)させる何かを発していることでしょう。


ただいま当店で開催中の展示『柳井貴光展 ー青い景ー』では、風景を描いた作品も多く展示されています。
作家の柳井氏は風景画家という一つのカテゴリーでは括れませんが、柳井氏の描く自然作品に私は『情感』を強く感じ、共感するのです。
行ったこともないはずの矢ヶ崎公園に郷愁を感じたり、塩尻湖の湖畔にあるウッドテーブルとパラソルに憧憬を感じたり…。
それは油彩画でも水彩画でもモノクロの鉛筆画にさえ感じるのです。
その描き方は、一部に写実的でありながら、一部に心象的でもある。

あなたはどう感じるでしょう。

『柳井貴光展 ー青い景ー』
9月30日(火)まで開催中です。

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《コラム》アートと風水 [コラム~アートで心豊かな生活を]

みなさん、アートはどう飾っていますか?

もちろん好きな作品を好きな場所に飾る、と言うのが一般的でしょう。
室内のインテリアと合わせたアートを…と考えるのも当然。

でも、玄関には立派な額装の作品、リヴィングには少し大きなモダンな現代アート、寝室にはリラックス感のある作品など…なんて決まりはありません。
アートの飾り方には正解は無いのです!

それでもギャラリーの作品をご覧になるお客様の中には、アートの飾り方には正解があると思いこんでいらっしゃる方や、どこに何を飾って良いか分からない…という方が多いのも事実。

そんな方々に、わかりやすくて気軽に挑戦できる方法の一つとしてご提案したいのが「風水」

きちんと勉強しようとすれば、歴史も長く奥も深いので"気軽に"などと言うと怒られてしまいそうですが…。
実は本もたくさん出ていますし、インターネットで検索すればサイトは山のように出てきます。


風水では、その家・その部屋のカラーや、方角にあったインテリアの種類なども知ることが出来ます。

一番有名なのはDr.コパで一世風靡した"西に黄色"でしょうか。
黄色の物にも、ソファーやベッド・クッション・置物・花瓶・写真立てなどから、絵や写真などまで選択肢は幅広くありますが、風水のインテリア本には、方角によって良いとされる色だけではなく、方角にあった花の種類、家具の素材や高さなど、結構具体的に説明されているので、インテリアコーディネートに風水を取り入れる方も多いのでは?

そう、アートもインテリアの一つ、と考えれば、風水を取り入れない手はありません!

我が家でも家の相位で、玄関に置くランプや壁に飾る絵を選びました。
リヴィングの北の壁には街と教会の絵、西側には黄色の花の絵、東の部屋には果物の絵などを飾っています。
西に黄色はもちろん金運アップですし、東に果物は実りが多いという意味合いがあるそうです。
(我が家の相位の場合です。)

ちなみに私は、Dr.コパで有名な小林祥晃さんや、李家幽竹さんの本を愛読しています!
絵でもこの方角には船、こちらには女の子など、結構詳しく載っていますよ。
あなたの手持ちのアート作品の飾り場所に風水を取り入れてみること、ぜひ挑戦してみてください。

今月展示中のMidori K Luck展でも果物や野菜の絵を展示しております。
西の壁にこんな作品はいかがでしょうか?

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「午後のマルメロ」油彩、48,000円

スペインならではの午後の強い日差しと、日光をたっぷり浴びた美味しそうなマルメロ。
金運もグングン上がりそうですよね♪

展示は4月29日(火)まで。ぜひご覧ください。
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《コラム》絵を飾ることは、窓を一つ開けること [コラム~アートで心豊かな生活を]

開催中の牧村慶子絵本原画展『しろいあしあと(安房直子著)』には、牧村慶子先生の絵のお仲間も見に来てくださっています。
その中で、絵本作家であり画家の渡辺あきお先生がご来店くださりお話しさせていただく機会がありました。

その中で印象的だったのが
『絵を飾ることは、窓を一つ開けること』
と言うお言葉。

曰わく
『窓の外に海が見たければ、海の絵を…
 花が見たければ、花の絵を飾れば良いんですよ』と僕はよく言うんですよ。
と。


ともすれば忙しさに埋没される私たちの日常。
ほんの一瞬でもホッとする時間があったら、それだけでも渇ききった心に潤いを与えてくれます。

その日常の中で一瞬目にする場所、例えば
 …パソコンに疲れて画面から目を外したデスクの横。
 …疲れて帰宅した玄関先。
 …誰もいない部屋に電気を点けた居間のテーブル。
 …食事の準備をするキッチンの壁。
 …化粧を落とす時のドレッサーの横。
 …ベットに入る時に目に入る枕元。
 …1人っきりになれる化粧室の壁だって良いんです。

そのちょっとした所に、行ってみたい場所の風景や、こころ安らぐ植物や大好きな動物など、ホッとする絵や写真を飾ってみれば、日常が少し変わるのではないでしょうか。
目を向けるだけで閉じていた心の窓を開け放てる、絵やアートにはそんな効果があるのだと、渡辺あきお先生の言葉で気づかせていただきました。

そして今月展示中の牧村先生の作品は、私たちの夢見る少女時代を思い出させてくれます。

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お花の葉っぱに妖精が見えたあのころ。
動物たちやお人形たちとお話が出来たあのころ。
世界を空想いっぱいに見ていたあのころ…。

大人になった私たちでも、そっとそんな夢を心に忍ばせていても良いのではないでしょうか?

そしてそれは、実は大人になろうが、世の中が進化しようが、変わらない…いえ、本当は変わってはいけない、大切な「心のあり方を育むこと」に繋がるのだと思います。

今回の作品展のタイトルになった『しろいあしあと』は小学館の創作童話シリーズのひとつです。
絵本をめくっていくと最後に「小学館 創作童話シリーズ 編集の際の力点」なる記述がありました。
その一番はじめの文がこちらです。

『 "やさしさ""明るさ""心のふれあい"など、どんな世の中になっても変わらぬ大切なもの、失ってはならないもの ーー全作品とも、その人間性の追求を基盤として、感動的に構成されています。』

この『しろいあしあと』も、きれいなお嫁さんになりたかったねずみの娘が、正体を隠して人間のお店に来てせっかく買ったおしろいを落としてしまった。そんなねずみの娘の気持ちを思いやったクスリやの女の子が、おしろいの”しろいあしあと”を追ってねずみの娘におしろいと口紅を届けに行くという、心優しいお話です。

牧村先生が活躍された「詩とメルヘン」や、サンリオギフトブックのシリーズなどでは、タイトルに”メルヘン”という言葉が多く見受けられます。この”メルヘン”とは、空想的な、非現実的な、短いお話のことを指すのだそうです。

少しだけ空想の世界…非日常を垣間見ること、情報に溢れ時間に追われて大切な心のあり方を忘れがちな大人の私たちにこそ、このメルヘンが必要なのかもしれません。
牧村先生の絵で、閉ざしていた心の中の夢の窓をひとつ開けてみてはいかがでしょうか。

作品展は3月31日(月)まで開催中です。

渡辺あきお先生サイン会、牧村慶子先生のチャリティ展出典


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《コラム》蔵書票について~林由紀子銅版画展 架空庭園の午後 [コラム~アートで心豊かな生活を]

アート初心者でカフェギャラリーを始め早8年め。
美術に関する知識は、その時展示してくださる作品について作家さんに教えていただいたり本やインターネットで調べて少しずつ得てきました。
知らなかったことを知る喜びをシェアしたい…と言うのはちょっと格好つけすぎですが、自分のメモとしても残しておこうと、コラムにすることにしました。
すでに知識豊富な皆様には、突っ込み、訂正、ご教授、ぜひお願いします。
そしてこのコラムで「へぇ~」とか「そうなんだ」などあった方がもしもいらっしゃれば、コメントぜひお願いいたします。


さて、第1回めとなる今回は、ただいま展示中の『林由紀子銅版画展 架空庭園の午後』から、
”蔵書票”について。

今月展示してくださっている銅版画作家の林由紀子氏は蔵書票作家とも言えます。
さてこの”蔵書票”とは何なのか、ご存じでしょうか?
インターネットで「蔵書票」と検索すれば、かなりのヒット数がありますので、複数のページで書かれていたことをまとめてみました。

活版印刷が発展しはじめた15世紀に同じ本が複数出来るようになり、自分の本であることを区別するために本の見返し部分にはった小紙片のこと、だそうです。
ラテン語で エクス リブリス(EX LIBRIS)といいます。

内容としては、自分の名前、蔵書であることの表記が、票主の好みのデザインで版画などで描かれます。

当時、本は非常に貴重なものだったために所有者を明確にする、と言う意味合いで始まったのでしょうけれど、今は美術品としての意味合いが強く、蒐集されたりトレーディングされる市場があります。

また、古書、特にヨーロッパのものには蔵書票がついている場合もあり、それを好んで蒐集する人もいるようです。

蔵書票は自作することも出来ますが、特殊な技術を使ったデザイン性の高いものなどは専門の作家に発注します。
現在でも林さんのような蔵書票作家は複数いますが、近年は蔵書票自体の存在もあまり広く知られていないのと、現在では印刷技術のさらなる発展により本が貴重なものではなくなったこともあり、市場は縮小傾向のようです。
特に、日本を始め中国圏などでは蔵書票より蔵書印の方が浸透しているようで、日本・アジアよりも、その発生した時からずっと根付いているヨーロッパの方が市場は大きく、国際的なトレーディング会やコンテストなどもあるのだとか。
今月の作家さん、林由紀子さんもそう言ったコンテストで入選されたこともあるそうです。

また、この蔵書票は、かなり個人的な用途で使われるためなのか、エロチックなデザインを用いることも多いようです。今回の林さんの作品ではあまりハードな作品は展示作品には含まれていませんが、実はフランスにエロチック美術館という美術館があるそうで、そちらに飾られたこともあるのだとか。

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今回の展示では、1997年から2010年の林さんの蔵書票全作品をまとめた
『プシュケの震える翅』も展示販売しておりますので、ご興味ある方はそちらでご覧いただけます。

さてこの蔵書票、オーダーすると50~60枚くらいを一単位で作っていただけるようです。
上述したとおり、そこには蔵書票であること、票主の名前が原版に掘られます。
つまり、その版で刷られる限り、自分の発注したデザインが票主である自分の名前とともに流通するわけです。
作家さんに制作を依頼したとは言え、自分の生み出したものが後世に残る可能性がある、ということ。
とても夢があると思いませんか?

さて、コラム第一回目は”蔵書票”について取り上げてみました。
いかがでしたでしょうか?ご意見ご感想、お待ちしております。

今後もアートに関すること、について私見を交えながら書いていこうと思います。



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