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《コラム》絵を飾ることは、窓を一つ開けること [コラム~アートで心豊かな生活を]

開催中の牧村慶子絵本原画展『しろいあしあと(安房直子著)』には、牧村慶子先生の絵のお仲間も見に来てくださっています。
その中で、絵本作家であり画家の渡辺あきお先生がご来店くださりお話しさせていただく機会がありました。

その中で印象的だったのが
『絵を飾ることは、窓を一つ開けること』
と言うお言葉。

曰わく
『窓の外に海が見たければ、海の絵を…
 花が見たければ、花の絵を飾れば良いんですよ』と僕はよく言うんですよ。
と。


ともすれば忙しさに埋没される私たちの日常。
ほんの一瞬でもホッとする時間があったら、それだけでも渇ききった心に潤いを与えてくれます。

その日常の中で一瞬目にする場所、例えば
 …パソコンに疲れて画面から目を外したデスクの横。
 …疲れて帰宅した玄関先。
 …誰もいない部屋に電気を点けた居間のテーブル。
 …食事の準備をするキッチンの壁。
 …化粧を落とす時のドレッサーの横。
 …ベットに入る時に目に入る枕元。
 …1人っきりになれる化粧室の壁だって良いんです。

そのちょっとした所に、行ってみたい場所の風景や、こころ安らぐ植物や大好きな動物など、ホッとする絵や写真を飾ってみれば、日常が少し変わるのではないでしょうか。
目を向けるだけで閉じていた心の窓を開け放てる、絵やアートにはそんな効果があるのだと、渡辺あきお先生の言葉で気づかせていただきました。

そして今月展示中の牧村先生の作品は、私たちの夢見る少女時代を思い出させてくれます。

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お花の葉っぱに妖精が見えたあのころ。
動物たちやお人形たちとお話が出来たあのころ。
世界を空想いっぱいに見ていたあのころ…。

大人になった私たちでも、そっとそんな夢を心に忍ばせていても良いのではないでしょうか?

そしてそれは、実は大人になろうが、世の中が進化しようが、変わらない…いえ、本当は変わってはいけない、大切な「心のあり方を育むこと」に繋がるのだと思います。

今回の作品展のタイトルになった『しろいあしあと』は小学館の創作童話シリーズのひとつです。
絵本をめくっていくと最後に「小学館 創作童話シリーズ 編集の際の力点」なる記述がありました。
その一番はじめの文がこちらです。

『 "やさしさ""明るさ""心のふれあい"など、どんな世の中になっても変わらぬ大切なもの、失ってはならないもの ーー全作品とも、その人間性の追求を基盤として、感動的に構成されています。』

この『しろいあしあと』も、きれいなお嫁さんになりたかったねずみの娘が、正体を隠して人間のお店に来てせっかく買ったおしろいを落としてしまった。そんなねずみの娘の気持ちを思いやったクスリやの女の子が、おしろいの”しろいあしあと”を追ってねずみの娘におしろいと口紅を届けに行くという、心優しいお話です。

牧村先生が活躍された「詩とメルヘン」や、サンリオギフトブックのシリーズなどでは、タイトルに”メルヘン”という言葉が多く見受けられます。この”メルヘン”とは、空想的な、非現実的な、短いお話のことを指すのだそうです。

少しだけ空想の世界…非日常を垣間見ること、情報に溢れ時間に追われて大切な心のあり方を忘れがちな大人の私たちにこそ、このメルヘンが必要なのかもしれません。
牧村先生の絵で、閉ざしていた心の中の夢の窓をひとつ開けてみてはいかがでしょうか。

作品展は3月31日(月)まで開催中です。

前出の渡辺あきお先生の絵本
『とどけ みんなの思い 放射能とふるさと』夢ら丘実果・文、渡辺あきお・絵
の読み聞かせ・ダブルサイン会が紀伊国屋書店で開催されます。

4月5日(土) 13:30~、15:00~
紀伊国屋書店新宿本店6階読み聞かせスペース
問い合わせ)紀伊国屋書店新宿本店6階児童書売場 電話03(3354)0756

また、牧村慶子先生は、当店での展示期間中に開催されている、東日本復興支援チャリティー
『子供の本の画家たち展2』に一点出展されています。(すでに売約済みですが)
牧村先生の最近の絵がご覧になれます。その他多くの作家さんの作品が一堂に見られる展示です。
3月25日(火)まで。
丸善日本橋店 3階ギャラリー
http://www.dobiren.org/dobiren-ten.htm



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