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カメラで捉えたアベコベ現象 [コラム~アートで心豊かな生活を]

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今月開催して参りました『藤木晴行 写真展 山のささやき Ⅰ』も本日が最終日となりました。
作品は20:00までご覧いただけます。

作家の藤木 晴行氏が在廊くださったのが会期後半でしたが、そこで聞いてはじめて気がついた、と言う写真があります。
それが画像右上の作品。

一見、富士山を遠景に写し取った風景写真、です。
手前の木が遠くに憧れの富士山を見つめているような物語のある一枚。

ところが、この写真をよくよく観察していただくと、実は作家が計算して写し込んだ”あるモノ”をも捉えています。
撮影時、肉眼では良く見えていたので配置を計算して撮影したのだそうです。

ちなみに、焦点距離50mmのレンズの画角は肉眼に近い、と一般的には言われています。
(何を隠そう!?私は最初に就職したのがカメラメーカーでしたが、そこで教わりました!)
この写真が何ミリのレンズで撮影されたのかお聞きしていませんが、その”あるモノ”は肉眼よりだいぶ小さく写っています。この画像では見えません。

さて、その”あるモノ”とは、一体何だと思いますか?







正解は

「月」

でした!


と言うことで、この写真はカメラで捉えたアベコベ現象が写し取られているのです。

つまり
被写体の中で実際のサイズが一番小さいのが手前に一番大きく写し取られている木で、
奥に写し取られている小さな山は日本で一番高い山、富士山。
そして、木の枝の間に探さないと見えないくらい小さく写し取られているのが実際のサイズが一番大きい月。

もちろん、遠近法的に言えば正しく写し取られているのでアベコベ現象では無いのですが(汗

しかし、個人的に面白い!と思ったのがこの「視点」なのです。
三次元の現実世界で遠近法で配置された被写体たちが、写真という二次元の世界で観覧者からの焦点距離を同じにして表現される。そして実際のサイズと表現されたサイズにはアベコベ現象が発生している。

「アルプス一万尺」の歌詞を思い出しました。確か2番だったと思います。
昨日見た夢 でっかい小さい夢だよ 蚤がリュック背負って富士登山♪

小さいと思っているコトから大きな影響を受けたり、大きいと思いこんでるコトが実はちっちゃな拘りだったり。
そんな風に色んな視点で物事を捉えたら、人生かなり楽になるのではないでしょうか♪

ちなみに、「アルプス一万尺」の1番は
アルプス一万尺 小槍の上で アルペン踊りをさぁ踊りましょ♪
この「小槍」とは槍ヶ岳の山頂の部分を差しますが、冒頭の画像左上はその「小槍」を写した作品です。

明日最終日を迎える『藤木 晴行 写真展 山のささやき Ⅰ』での一枚のお話しでした。
見逃した方、見たけどもう一回確認したい方、まだ間に合います。
20時までお待ちしております♪

余談。
この「アルプス一万尺」と言う歌、アメリカの民謡に日本の大学の山岳部が歌詞をつけたと言われているそうですが、この歌詞がなんと29番まであるのだそうです!全部知りたい方はぜひ検索を♪
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「アート」とは「言語(ことば)」である [コラム~アートで心豊かな生活を]

カフェ・ギャラリーを営んで10年の間、常に考え続けてきたことがあります。
それが

「人に感動を与える作品とはどういうモノなのか?」
「伝える、伝わる、とはどういうことなのか?」

と言うこと。

店で展示しているアートや、毎週開催している音楽ライヴなどを通じて、いつも考えさせられてきました。

誰かにとても強く感動を与えるモノは、そこから何が発信されているのか?
そしてそれを受け取る受信者とどう関係があるのか?
感動を呼ぶことは、「発信」と「受信」どちらの影響が強いのか?
それとも両者とも同時に同じモノを授受するから感動を呼ぶのか?
絵など、完成した作品を後から観るような場合でも感動を呼ぶのはなぜなのか?

などなど・・・今までもその時々に起こった出来事やインスピレーションなどから、これが「答え」なのか?と思うコトを通過してきました。
そして、先日来、立て続けに起こった「涙」の出来事が、また私を導いてくれました。

それが

「アートとは言語(ことば)である」

ということ。


「涙」の出来事。
一つ目は今月展示中の『宮前真咲ボタニカルアート展』での出来事でした。
ある若い女性のお客様、恐らく当店には初めていらっしゃった方と思いますが、その方が展示中の作品をご覧になって流された「涙」。
その方は作品から多くのメッセージを受け取り、自分の背中を押してくれたように感じたそうです。

その方が強く惹かれた作品は画像中央の「寒ぼたん」でした。
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そしてもう一つは火曜日に開催された山下TOPO洋平さん(ケーナ&サンポーニャ)と上野山英里さん(ピアノ)のデュオライヴ中での出来事でした。
このお二人の演奏を初めて聴かれたある若い男性のお客様が、曲の途中で流された「涙」。その曲が終わって次の曲までも止まらず、ライヴ終了後にもまた蘇って込み上げてきた「涙」。
曲を聴きながら、力強く進みなさいと言われているような気がしたそうです。

その方が涙した曲は「Strength」という曲でした。
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そしてそのライヴでの出来事を見ていた時、あの言葉が浮かんできたのでした。

「アートとは言語(ことば)である」


絵 や 音楽 や 踊り や もしかすると料理もそうかもしれませんが、私たちが普段話したり聞いたりする日本語と同じように、それらも「言語(ことば)」なのだな、と。

つまり、その「言語(ことば)」を理解する者同士であれば、きちんと伝わる。

絵のように、生まれたその瞬間を共にする音楽や踊りと違って、時を経て対峙する場合であっても、その絵として書かれた「言語(ことば)」を理解できる者にはきちんと伝わる。

もちろん、その大前提としてその作品には”意志ある”「言語(ことば)」が乗っていないと伝わりません。

絵 と 単なる図 との、
音楽 と 単なる音 との、
踊り と 単なる動き との、
料理 と 単なる食材 との違い。

そこに「言語(ことば)」が書かれているか。

先日のライヴでピアニストの上野山さんが仰っていました。
よく自分たちの音楽を説明しなくてはいけない場面があるが、一言で説明するのはとても難しい。
言葉で説明できれば音楽を作る必要もないわけで。だからこそ曲で表現している。
それでも言葉で説明できれば便利ですけどね。・・・と。

人は何かの意志を自分以外に伝える手段として「言語(ことば)」を発するようになったけれど、「言語(ことば)」は日本語や英語やイタリア語や中国語などの文字を音にして発したモノだけでなくて、様々な表現方法でもあるということなのだろうと思います。

もちろん、象形文字など文字の原型は図だったので、これは当たり前と言えば当たり前のことかもしれません。
それでも、私にとっての「アートとは?」「感動を与えるとは?」の問いに対しては一つの答えとなりました。

ちなみに「人工的な」と言う意味の英語は「artificial」と言うそうです。
アートも言葉も、人はすごいものを生み出したものですね。

・・・今回導かれたこの「答え」も、単に一つの通過点に過ぎないかもしれません。また次の「答え」が見つかった時にはこちらでシェアしたいと思います。
この文を読まれた方でご意見・ご感想がある方はぜひお寄せ下さいね。


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ジャズと写真はちょっと似ている?? [コラム~アートで心豊かな生活を]

先日、開催中の写真展を見る為にお越し下さった、こちらも兼業写真家のお客様と展示作品をご覧になりながらお話ししている中に、
「写真ってどうしても絵画より低く見られがちで・・・」
と言う話が出ました。

個人的にはそう思ったことがなかったのですが、驚きとともに良く考えてみると、確かに「芸術」という分野では一般の方からは一部そう思われるフシがあるかもしれない。

今カメラの技術はどんどん進化して(いることが良いかどうかは置いておき)、メーカーは誰が撮っても”ある程度の”写真が撮れることを目指すことが多いように思う。
そして”趣味”の世界ではカメラ人口は年々増加傾向にあるのだと聞いたこともある。
写真を愉しむ人が増えること自体はイイコトではないかと確かに思う。

それが「芸術」における写真の地位!?を低くしているのか???

そんな話を閉店後にマスターと話していたところ
「歴史が浅いからじゃない?」
と言う意見が出ました。

確かに、絵画は有史以前から壁画などにも見られていたけれど、写真は最古と言われる物でもたかだか200年にも満たない。
そこでふと思う。

写真とジャズってちょっと似ている??

ジャズの歴史も100年あまり。クラシック音楽に比べれば最近の話と言える。
・・・とすれば、絵画はクラシックってこと??

音楽の専門家ではないので正確なところは分かりませんが、歴史の面でも、技法の面でも、写真はジャズ・絵画はクラシックと喩えられるかもしれません。

写真はその場にあって刻一刻と変化している「今」を切り取っているもの。
絵画はある技法に基づきキャンバスの上でより「完成」を目指して表現しているもの。

即興を主とするジャズと
譜面を主とするクラシック。

そしてその型を破り進化しようと模索し生まれる現代アート、現代音楽へと続いている。

今の時代、手軽にはじめられると言う意味でもジャズと写真は似ているのかもしれません。
最近のカメラであれば誰でもある程度の写真は撮れる。ジャズも楽器があればある程度のジャズ”風”音楽は奏でられる。
一方クラシック音楽はそれなりの学校へ通わないと出来ないと思うところが、絵画とも似ているようにも思います。特に油彩はそうでしょうか。

もちろん写真・絵画も、音楽も、プロとアマで積み重ねの違いがあるわけですが、それは主題ではないのでここでは省略。

ただ、
冒頭の「写真は絵画より低く見られがち」と言う意見も、写真と絵画の関係性がジャズとクラシックと似ているところなのかもしれない、とふと思いました。
音楽を聴くことにおいても、ジャズはクラシックより低く思われがち、なこともジャズライヴを開催している立場からすると多少感じるところでもあります。

どのジャンルの芸術でも人の好みはそれぞれ。何が良くて何が悪いと言うことではありません。
ただ、もし本当にAよりBの方が価値が高い低いとイメージだけで決められてしまっているのであれば残念だな、と。

何はともあれ、写真も絵画も、ジャズもクラシックも、もちろん他の芸術もですが、生み出す人もそれらを享受する人も全ての携わる人々が誇りを持って携われると良いなと思っています。
それには自分がどう感じているかを自信を持って感じ取ってゆけること。自分の感性を磨くこと。

私たちの店で提供するアート・音楽・文学・食文化の面から、自分の感性を磨くことをお手伝いしてゆきたい、と改めて思った出来事でした。

そういえば、お客様で写真家の先生がジャズが大好きで、それが高じて写真家仲間で昔ジャズバーを作ったのだと聞いたことがあります。また超大物ジャズプレイヤーを数々カメラに収めてきた某有名写真家の先生も老舗のジャズクラブ経営者でした!写真とジャズ・・・実は惹かれ合い響き合う関係なのかもしれませんね。今度お目に掛かったらそんな話も聞いてみようかな。

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重ねた数だけ深みが増すのは人生も同じ、でしょうか。 [コラム~アートで心豊かな生活を]

店で出会うお客さま、アーティスト、ミュージシャン・・・様々なお仕事や背景を持つ方々と触れ合い、お話を伺う機会に恵まれいることは、とても幸せな環境だと思います。
そして、色々な方のお話が点が線で繋がると言うこともしばしば起きる面白いことの一つ。

先日、開催中のRANNANフェルトアート展の作家、RANNANさんがデモンストレーションで彼女の特徴ある「目」の作り方を見せてくださいました。

RANNAN作品はすべて手作り。フェルトワークはもちろん、ユニコーンの角や、ずらりと並ぶ歯やカラスの爪など、すべてが手作りなのです。その中でも一際気になるのが、覗き込むと引き込まれそうになる魅力的な「目」。
毎日作品を眺めていると、その目の表情が語りかけてくるように感じるのです。

「目は心の窓、」とか「目は口ほどに物を言う」などと言う通り、私はこの目にとても惹かれるのです。
そんな「目」を創る行程を見せていただけたことで、RANNANさんの作品に見られる目の魅力の秘密が垣間見られました♪

使うのは「レジン」と「UVライト」そして様々な色や形の素材たちです。

まずは型の中にレジンを入れます。
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それをUVライトを当ててCooking。
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固まってきたら色素材や形の素材を入れてレジンで固めると言う作業を何度も繰り返します。
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出来上がったのはこちら。
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いかがでしょうか?今回は数えていませんでしたが恐らく7回~9回くらいの「層」を重ねたと思います。

表から見ると、一つにまとまめられていますが、幾層にも重ねられた色や形がお互いに影響し合って、色の変化や形の変化を生み出し、あの不思議な魅力的な目になっていることが分かりました。

「手を掛ける」と深みが増すんですね・・・。

以前、別の作家さん(この方は画家さんですが)から、鑑賞者の目に触れる一番上の色を出す為に何層も色を重ねていると言うお話を伺いました。さらには手を掛けて重ねた分だけ飽きが来ない、と言うことも。

かの有名な画家フェルメールも「ラピスラズリ」の色が気に入っており、色の深みを出す為に下地として頻用していたと聞いたことがあります。高価なラピスラズリを下地に使うほど、その効果が大きいものだったのでしょう。だからこそ、何百年も経った今でも多くの観衆を惹きつける作品として残っているのだと思います。


これって人生も同じではないでしょうか。


最後にRANNAN作品の目をいくつか集めてみました。
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どれも魅力的に感じませんか?実際に会場でぜひ目を覗き込んでみてくださいね。

そしてデモンストレーション開始前のRANNANさん♪
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彼女の澄んだブルーの瞳もとてもステキですよ♪
本日も14:00頃からデモンストレーションを開催予定です。
ぜひご来場下さいませ!


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自分の感受性くらい [コラム~アートで心豊かな生活を]

カフェ・ギャラリーと言うのは面白いもので、全くアートを見ることを目的とせずご来店くださるお客さまが大半ですが、その中に壁面に飾られるアートから話が弾むこと、と言うのが良くあります。

先日もフラッとお立ち寄り下さったご近所のお客さまから「良い絵とは」と言うお話を伺いました。
恐らく絵画やアート全般に造詣の深いお方なのでしょう、フランスの詩人、美術評論家のシャルル・ボードレールの言葉を教えていただきました。

「良い絵とは、その前にしばし立って作家のポエジーを感じられるもの」(シャルル・ボードレール)

ポエジー=poesy(ボードレールはフランス人なので poésie の方がしっくりくるでしょうか)とは、「詩」のこと。
詩人ならではの言葉なのでしょう・・・その絵から「詩」を感じられるかどうか?

詩を感じるかどうか?は観た人に依存します。感覚・感性の問題なのでそれを感じるか?どう感じたか?は「私」にしか分かりません。

以前このコラムでも書いたことがありますが、個人的には
---
作品は、創る人と観る人との共同作業で完成に至るもの。
創る人が作品に込めた思いと、作品を観た人が意識下であれ無意識下であれ自分の中にある何かと重ね合わせた結果、この二者の間にしか存在し得ない完成の形がある、と思います。
そしてそれは、「ほんもの」を直接目の前にした時にのみ到達する完成の形であり、印刷物や電波などの媒体を通した時には掴みきれない、両者の間に流れる空気というか波動というかが大きく影響するのだろう。
---
と思っています。

ボードレールは別に
「他人の感受性を軽蔑してはいけない。感受性はその人の才能なのだ。」
と言う言葉も残しているそうです。

女流詩人、茨木のり子の詩にも
「自分の感受性くらい」
と言う作品があります。

” ぱさぱさに乾いてゆく心を ひとのせいにするな ” にはじまり
(省略)
" 自分の感受性くらい 自分で守れ ばかものよ " で締めくくられる詩。

私はこれらの言葉に深く共感します。
「良い絵」とはこれに尽きるのではないか、と思うのです。

【私】がポエジーを感じるかどうか。
それは、
【私】の感受性を【私】がしっかり感じているか。

先日とある電話がありました。
女性からで、

---
昔絵が大好きで色々買い集めていたけれど、家庭の事情により全て手放さなければならなかった。
最近また絵を見る余裕が出てきたのでギャラリーをまわっていたらある絵に出会い、強く惹かれてしまった。その絵を買う為に何度もそのギャラリーに足を運びやっと手に入れたけれど、作家名が分からない。
絵に付いたサインや画風からインターネットで検索し、ようやくたどり着いたのがこちらの店だった。
---

と少し興奮した口調で一気にお話になりました。
どうもその絵が当店で毎年作品展を開催される作家のものではないか、と。

その作家は、長きに渡り画家として活動を続けてこられたベテランで数々の素晴らしい作品を生み出されています。しかし、歴史的に有名でもなく、テレビや雑誌に取り上げられるような売れっ子作家でもありません。

有名・無名・人気の有無、そんなことは関係なく、その女性は「作品に魅せられ」、追いかけて追いかけてついに探し当てたのです。

これこそ、「自分の感受性」を守った、と言えるのではないでしょうか。
これこそ、この方にとっての「良い絵」と言えるのではないでしょうか。

自分の感受性を守るには、自分と向き合う時間が不可欠。
こんなことを考えられるようになったのも、約10年間毎日毎日アートと向き合ってこられたから、でしょうか・・・。

歴史的に著名な作品を美術館で観るのも素晴らしいことと思いますが、そこで1枚の絵と対峙するのは特に日本の美術館では残念ながらなかなか難しい。
ゆっくりと「自分の感受性」と向き合う・・・そんな時間を取るには、ゆっくりご覧いただけるギャラリーはオススメだと思います。

冒頭のお客さまからこの話題を引き出してくれた
『Midori K Luck展 5月のアンダルシアにて』
は、本日が最終日です。17:00までご覧頂けます。
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音とアートのコラボレーション [コラム~アートで心豊かな生活を]

昨晩は当店で不定期に開催している、日本がテーマの「ZIPANG LIVE」でした。
ご登場いただいたのは、サックス大石俊太郎さんと、尺八の田中黎山さんのデュオ。洋と和の融合でした。

今月開催中の「柳井貴光展 -二つの光景-」では、自然の事象・事物の中に見出される相対する二つの光景がテーマ。昼と夜。自然と人工。そして和と洋。
昨晩のライヴは期せずしてですが、まさにこの展示期間中に開催されるべくして開催されたと言って過言ではない、そんな時間でした。

「MUSIC AND SCILENCE」というタイトルだったライヴでしたが、その名の通り、音と空間の狭間を、時に煙のようにゆらゆらと、時に水面を漂う落ち葉のように、たゆたうひとときでした。

そして、昨晩だからこそのサプライズ企画がありました。
それが「柳井作品」と演奏のコラボレーション!

1部、2部にそれぞれ1枚ずつ柳井作品を選んで、そのイメージでの即興演奏をご披露くださいました。
まさに音とアートのコラボレーション!

1部で田中黎山さんが選ばれたのはこちら。

「森のいりぐち」(水彩)
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”秋らしい”光景が良いと選ばれたこの「森のいりぐち」でしたが、足下から続く木の遊歩道から未知の世界へ足を踏み入れる時の好奇心と少しの緊張感が伝わってくる曲になったように感じました。
演奏が終わった後に大石さんが「2人とも森のあの辺にいたよね」と仰ったのが印象的で、演奏しながら音という言葉での会話を目の前で見られたことに感激しました。
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そして、2部で大石俊太郎さんが選ばれたのはこちらの作品。
「海の声」(アクリル)
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”洋の曲は目に見えたり手にとったりすることができるソコにあるものをタイトルになっているものが多いけれど、和の曲はソコにはない風情がタイトルになっているものが多いと思う”と仰る大石さんが、今回の展示の中で一番「和の曲」の要素を感じられたのがこの「海の声」だったそうです。
こちらの演奏では、貝殻に耳をあてたときの風のような波のような音や、水に飛び込んだ瞬間に外から聞こえるのか自分の中から聞こえるのか分からないあの音を想起させる曲でした。まさに「海の声」かもしれませんね。
聞いていて子ども時代に海に感じていて偉大さや得体の知れない不安さなどの感情が蘇る面白い1曲となったと思います。

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ライヴの詳細は店の活動ブログにアップしていますので、こちらもご覧ください。
http://i-would-be.dreamlog.jp/archives/9092971.html

和と洋、2つの管楽器のみが用いられるお二人の演奏でしたが、単音同士でありながら、深く広い世界観を表現されていて驚きのライヴでした。
またギャラリーの展示作品と音のコラボレーションが出来たら・・・と、次なる試みに期待に胸を膨らませております。
いつか今回の音源も公開できることがあればご紹介したいと思っておりますので、お楽しみに♪

そして開催中の『柳井貴光展 -二つの光景-』も残すところ3日となりました。
どうぞお見逃しなく!



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ピカソの愛 [コラム~アートで心豊かな生活を]

開催中の『齋藤龍弘 展 Plants』の作家 齋藤氏とのカウンタートークでお聴きしたエピソードを一部ご紹介しましょう。

齋藤氏は20代の頃にヨーロッパを遊学していた時期があります。
その時訪れたスペインに惚れ込み、その後何度も足を運んだのだとか。
中でもバルセロナのピカソ美術館に訪れた時の話をしてくださいました。

美術学校を卒業された齋藤氏は、学生時代には資料の中でのピカソ作品しか見たことがなかったそうです。
資料の中の印刷物として見たピカソの作品、特にキュビズム時代の作品を見た時は、
まず、”どこが目で鼻で・・・横向いている・・・” など、どこかに納得の糸口を探したのだとか。

ところが、バルセロナでピカソの原画を見た瞬間、どこに何が書かれているか云々などは
すべて一瞬で消え去ってしまったほどの感動を覚えたのだそうです。

それが、ピカソの愛。

ほんものを目の前にして感じたのは、ピカソの作品から溢れ出る愛。

あぁ、この人は全てを愛しているんだな。人も動物も机も何もかも。

そう感じたのだそうです。


作品は、創る人と観る人との共同作業で完成に至るのだと個人的には思っています。
創る人が作品に込めた思いと、作品を観た人が意識下であれ無意識下であれ
自分の中にある何かと重ね合わせた結果、
この二者の間にしか存在し得ない完成の形がある、と思います。
そしてそれは、「ほんもの」を直接目の前にした時にのみ到達する完成の形であり、
印刷物や電波などの媒体を通した時には掴みきれない、両者の間に流れる空気というか
波動というかが大きく影響するのだろうと思っています。

齋藤氏がピカソの作品の中に万物に対する大いなる愛情を感じたのは、
齋藤氏本人が作品を生み出すその魂の中にある何かと共鳴したからなのだろうと想像します。

そして今、

「大いなる時間と空間の中に存在する万物の生命。
 その生命の在り方を様々な姿形で描いていきたい。」

このテーマで作品を生み出し続ける齋藤氏の魂籠もった「ほんもの」の作品を前にした時、
あなたは何を感じるでしょうか。

あなたと齋藤氏の二者の間にしか存在しない作品の完成の形を掴んでみてはいかがでしょうか。

『齋藤龍弘展 Plants』
9月29日(火)17:00まで開催中です。
そして、9月20日(日)夕刻には齋藤氏在廊の予定です。

ご来場、お待ちしております。

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心はどこにある? [コラム~アートで心豊かな生活を]

あなたなら 『心はどこにあると思いますか?』 と聞かれたらなんと答えますか?
心臓のあたりを指しますか?それとも頭のあたり?


開催中の『小倉宗 展 ユミンと神様と愛LOVE浮酔絵』の作家、岐阜県在住の 小倉宗氏の絵の実物を私がはじめて拝見したのは昨年の4月。そこで見たのは「まどろみの詩」という大きなサイズの作品でした。
とても強い印象と世界観を持つ小倉氏の作品をはじめて拝見したので、隅から隅まで、手作りの額縁の裏まで覗いて観察したのです。

そして気づいた作品に登場するキャラクター達の『瞳』

・・・そこには宇宙が宿っていました。

宇宙とつながっている、と言った方が近いでしょうか。
それぞれの『瞳』を見つめると、その奥は一つの宇宙に繋がっている。
感想は個人のものなので、人それぞれ違います。が、私には宇宙が見えたのです。

子どもの頃から空や雲や月や星を眺めるのが好きだった私は、何となく宇宙に惹かれるのです。
だから一目で小倉作品が大好きになってしまいました!

あれから1年。

今月の個展に先駆けて、4月中旬に所要で東京にいらっしゃっていた小倉氏が打ち合わせを兼ねてご来店くださり、作品の話やその他の話などで盛り上がっていたときに出てきたのが冒頭の言葉でした。


あなたならどう答えますか?

私は多聞に漏れず、胸の辺りを指して「この辺でしょうか・・・?」と自信なく回答。

小倉氏は否定しません。
「うん、それもそうかもしれないね。でも、心は宇宙にあるんだよ。」

最初は「えぇ??」と思ったのですが、続いた説明に納得。

「身体は誰のものだと思う?自分のもの?
 僕たちはこの身体を預かっているんだよ。だから心も宇宙にあるんだよ。」

そこで私が小倉作品の『瞳』の中に見た宇宙に合点がいきました。
だって、”目は心の窓”って言うじゃないですか!

そしてその晩。

いつものように閉店後に店内を清掃中、化粧室の鏡を磨きながら自分の顔をじっと見ていると・・・
なんと、私の目と小倉作品の瞳が同じことに気づいたのです!
驚いて即座に主人の顔を見ながらそのことを伝えると、ニコッと笑って「みんな同じだよ」と言うのです。
そしてその瞳も・・・小倉作品の瞳と同じだったのです!

そう、私たちはみんな宇宙と繋がっている。
宇宙から預かった身体に、宇宙と繋がっている心を宿している。
そしてその瞳は心を映す窓。みんなの瞳に宇宙があるのだ、ということに気づきました。
自分たちが宇宙につながっている、なんて考えただけでワクワクしませんか?
私が小倉作品に感じるワクワク感もここから来ていたのかもしれません。

小倉作品との出会い、その『瞳』に見た宇宙。

ここまで読んでくださった皆様。このお話をどう思いますか?

非科学的?馬鹿げてる?おかしいんじゃない?
何でも良いんです。

あなたはどう思いますか?
「心はどこにあるのか?」「私たちの身体は誰のものなのか?」「私たちと宇宙はつながっているのか?」
そんなことについて、ぜひ一度考えてみてください。
そして、あなたがどう思ったのか、ぜひ聞かせてください。


実は、岐阜在住の小倉氏が、会期中に1度だけ在廊されます。
それが6月14日(日)です。
時間は未定ですが、昼過ぎからいらっしゃる予定です。
小倉氏に会ってみたい!お話ししてみたい!と言う方は、ぜひ当日ご来場くださいね。
とっても素敵な方ですよ♪

展示は6月30日(火)17:00まで開催しています。
小倉作品の瞳の宇宙を、あなたの目で確認してみてくださいね♪

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《コラム》アートが似合う部屋に住むワタシ、になる! [コラム~アートで心豊かな生活を]

ただいま開催中のフォトグラフ&ジュエリー『HOSHINO展』は、洗練されたフォトグラフとジュエリーのコラボ展です。

フォトグラフは、スタイリッシュに切り取った「花」、抽象的な表現のモノトーン作品、現代アートっぽいモダン作品…と大きく分けて3タイプの作品を展示しています。

どれをとっても、インテリアとして飾っていただければお部屋がワンランクもツーランクもアップすることでしょう。


例えば「Dhalia」の4作品は、白を基調としたシンプルなリヴィングに。ソファに座った部屋の主人をより洗練させてくれるでしょう。

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(画像は10月5日に開催した『Jazz for Lady』関根彰良ソロギターライヴより)


モノトーンの抽象的な作品は、ゲストルームに。柔らかいライティングと流線的なフォルムが心落ち着く空間に。

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現代アートっぽい作品は、今回の展示作品同様にジュエリーと合わせて飾ってみるなど、遊び心をフル活用してマイルームに飾ってみるのはいかがでしょう?

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こんな素敵な作品に見合うお部屋じゃない??お部屋が散らかっているから…??
いえいえ、どうかそんなことは仰らずに…。

こんな作品が似合うお部屋に住む!というモチベーションにする、と考え方を変えてみてはいかがでしょう?
きっと普段の生活から意識が変わるはず!
このモチベーションで、 お部屋の片づけもサクサクと進むことでしょう。

そしていつか…アートの似合う部屋に住むワタシ、アート作品が似合うワタシ、になっていますよ♪

フォトグラフ&ジュエリー『HOSHINO展』は10月31日(金)まで開催中です。
写真はすべてオーダーいただけます。



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《コラム》その絵が収まるべき場所 [コラム~アートで心豊かな生活を]

開催中『柳井貴光展 ー蒼い景ー』作家 柳井貴光氏は、群馬や軽井沢周辺の風景を多く描きます。
こちらも軽井沢のある場所でのワンシーンを描いたものです。

『林道の木陰』油彩 45 x 26.5

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軽井沢のとある林道で一休み中の車。青々と茂る樹木の枝からは強い日差しの木漏れ日が…。
一見、静止した風景を切り取った絵、のように感じますが、実はこちらの絵、展示初日にはこんな風に飾っていました。

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上の画像と比較してみていかがでしょうか?

光の強さと影の濃さが強調されたことにより、視線が動いて、絵も活き活きとして動きを感じませんか?
日差しと影に導かれ、自然と車が今走って来ただろう道の奥へと視線が向かいます。
どこから来たのか、そして車の持ち主は何処へ…。


実はこれ、飾る場所を変えて起きた変化なのです。


私どもの店は小さなカフェギャラリーですので、展示用に作り込まれた壁面にはスペースに限りがあります。
本当ならばすべての絵に均等に光を当ててあげたいのですが、なかなかそうもいきません。
そこで、絵が動いたときなどは場所を移動して、その絵がより輝くようにしてあげたいと思っています。

今回はこの『林道の木陰』をはじめの場所から移動することにしました。
するとどうでしょう。

今まで颯爽と風を切って林道を走り抜けてきた車が、今は道端に寄せられて休んでいる。
きっと持ち主が戻ってきたら、再び風を切って走り去るだろう。
きっと車の持ち主はこんな人で、軽井沢の別荘に向かう途中で店にでも立ち寄ったのかな…なんて想像も膨らみます。
そんな、時間の流れ…言ってみれば、命が絵から浮かび上がってきたように感じます。


どう飾るか?で、もともとその絵が持つポテンシャルがより引き出される、と言うことでしょうか。


実は、この絵の展示場所を変えた時、絵がキラッと輝いたように感じました。
絵自身も自らが収まる場所を知っていたのかも…。


みなさんも自宅に飾られている絵と向かい合ってみて、その絵が収まるべき場所に飾られているか、一度チェックしてみてはいかがでしょう?
場所を変えられない場合でも、光源の位置や色、展示している高さを変えてみるだけでも驚くほど印象が変わるものですよ。


…実はこの絵が飾られていた場所にあったもう一枚の絵も場所を移動したのですが、それもまた新しい場所に収まった途端に輝きだしたのです。こちらの絵のお話の続きは…ご来場くださったときに…。
ご来場、心よりお待ちしております。


ところで、この絵に登場する車、何という車かご存じの方いらっしゃいますか?
AUSTIN-HEALEYですかねぇ…??
どなたか正確をコメントいただけると嬉しいです!

『柳井貴光展 ー蒼い景ー』は9月30日まで開催中。
会期終了日までの閲覧時間は、
 9/23(火・祝)は17:00まで
 9/24(水)定休日
 9/25(木)22:00まで
 9/26(金)17:00まで
 9/27(土)17:00まで
 9/28(日)21:00まで
 9/29(月)20:00まで
 9/30(火)17:00まで
ご覧いただけます。
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