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開催中『柳井貴光展 ー蒼い景ー』蒼と青 [開催中の展示会情報]

今回の展示のタイトル『蒼い景』ですが、DMの原稿をいただいた時から気になっていた疑問を作家 柳井貴光氏にぶつけてみました。

色を表す「アオ」には、青、蒼、碧、滄…色々ありますが、なぜ「蒼」なんだろう。
同じく「カゲ」にも、景、陰、影、蔭…などの中でより一般的な影じゃなく景なのか。

ところで、回答をお聞きする前にちょっと調べてみました。

そもそも「青」は旧字体がありますが、それは青の下半分「月」の部分を「丹」と書きます。
つまり、この文字は「生」と「丹」から成り立っているのだそうです。
そして生は木を表したもの、丹は朱系の色(火)であること…。
五行思想(木、火、土、金、水)においても木には青をあてています。(「日本の色辞典」吉岡幸雄著より)

「アオ」はつまり自然の色、なのですね。
しかし、青は中国から入ってきた言葉ですが、当時中国では「みどり」を意味する言葉だったそうです。
そのまま日本でも「みどり」を意味して使われていたのが、藍が伝えられ衣服などに盛り込まれた頃から
藍を意味する青が浸透していったと考えられるようです。
みどりを意味する頃の名残が、青菜とか青梗菜など。
さらには『大日本方言辞典』によれば、青森・新潟・岐阜・福岡・沖縄といった地方では、青は黄も意味したそう。
(weblioより)
「アオ」がずいぶんと広範囲な色を表すことが分かります。

そこから考えてみると、旧字体の表す青は実際の色としては「緑」と「赤」を表していることになります。
お気づきかと思いますが、緑と赤は補色の関係、つまり真逆の関係です。それを一つの字で表している…。
そして青は「赤(丹)」を「生」かした色、ということ…。


さて、柳井さんの展示に話を戻しましょう。
こちらのブログでも今回の展示作品の画像を何枚かアップしましたが、今回の作品全体の色合いは、いわゆる「青色~黄緑色」の範囲です。
上述した内容を考えると、確かにすべて「アオ」の範囲なのですね。

そして良く観察すると、草原の、新緑の、山間のグリーンを基調とした作品には効果的に赤が使われています。

さて、作家ご本人が込めたタイトルの意図の答え、ですが…
次回の「景」のお話の時まで取っておきましょう。

今回の展示作品の中では、実際の色としての青が基調の作品も何点かありますが、意識してかどうかは分かりませんが、それぞれ赤を生かした作品となっています。
最後に代表してこちらの作品をご紹介しましょう。

「果実(スモモ)」水彩 33x26

1410795524635.jpg

『柳井貴光展 ー蒼い景ー』は9月30日まで開催。明日16日は17時までご覧いただけます。

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