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ピカソの愛 [コラム~アートで心豊かな生活を]

開催中の『齋藤龍弘 展 Plants』の作家 齋藤氏とのカウンタートークでお聴きしたエピソードを一部ご紹介しましょう。

齋藤氏は20代の頃にヨーロッパを遊学していた時期があります。
その時訪れたスペインに惚れ込み、その後何度も足を運んだのだとか。
中でもバルセロナのピカソ美術館に訪れた時の話をしてくださいました。

美術学校を卒業された齋藤氏は、学生時代には資料の中でのピカソ作品しか見たことがなかったそうです。
資料の中の印刷物として見たピカソの作品、特にキュビズム時代の作品を見た時は、
まず、”どこが目で鼻で・・・横向いている・・・” など、どこかに納得の糸口を探したのだとか。

ところが、バルセロナでピカソの原画を見た瞬間、どこに何が書かれているか云々などは
すべて一瞬で消え去ってしまったほどの感動を覚えたのだそうです。

それが、ピカソの愛。

ほんものを目の前にして感じたのは、ピカソの作品から溢れ出る愛。

あぁ、この人は全てを愛しているんだな。人も動物も机も何もかも。

そう感じたのだそうです。


作品は、創る人と観る人との共同作業で完成に至るのだと個人的には思っています。
創る人が作品に込めた思いと、作品を観た人が意識下であれ無意識下であれ
自分の中にある何かと重ね合わせた結果、
この二者の間にしか存在し得ない完成の形がある、と思います。
そしてそれは、「ほんもの」を直接目の前にした時にのみ到達する完成の形であり、
印刷物や電波などの媒体を通した時には掴みきれない、両者の間に流れる空気というか
波動というかが大きく影響するのだろうと思っています。

齋藤氏がピカソの作品の中に万物に対する大いなる愛情を感じたのは、
齋藤氏本人が作品を生み出すその魂の中にある何かと共鳴したからなのだろうと想像します。

そして今、

「大いなる時間と空間の中に存在する万物の生命。
 その生命の在り方を様々な姿形で描いていきたい。」

このテーマで作品を生み出し続ける齋藤氏の魂籠もった「ほんもの」の作品を前にした時、
あなたは何を感じるでしょうか。

あなたと齋藤氏の二者の間にしか存在しない作品の完成の形を掴んでみてはいかがでしょうか。

『齋藤龍弘展 Plants』
9月29日(火)17:00まで開催中です。
そして、9月20日(日)夕刻には齋藤氏在廊の予定です。

ご来場、お待ちしております。

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